韓国では相続事件における相続人の権利として1977年に「遺留分」の制度が新設されました。

民法第1112条において、遺留分の権利者とそれぞれの遺留分について以下の通り定められています。

第1号 被相続人の直系卑属:法定相続分の2分の1
第2号 被相続人の配偶者:法定相続分の2分の1
第3号 被相続人の直系尊属:法定相続分の3分の1
第4号 被相続人の兄弟姉妹:法定相続分の3分の1

このうち第4号(つまり被相続人の兄弟姉妹の遺留分)に関して韓国の憲法裁判所が2024年4月25日付で裁判官全員一致意見で違憲(憲法不合致)の決定を下しました。

その決定理由について、憲法裁判所は「被相続人の兄弟姉妹は相続財産形成に対する寄与などがほとんど認められないにもかかわらず遺留分の権利を付与することに妥当な理由を見つけるのが難しい」と表明しています。

上記決定に従い、兄弟姉妹の遺留分請求権は直ちに効力を失うこととなりました。
なお、「遺留分」の制度自体に違憲性はないものとしてその他の遺留分の権利者に関する遺留分は存続することとされました。
また、上記決定を受けて国会において2025年末までに民法改正が実施されることとなっています。

※日本にも「遺留分」の制度はありますが、従前より「兄弟姉妹には遺留分権はない」旨規定されています(民法第1042号)。